あれから二年が

第一回

「 山口さん  実はがんです、、、」

「えっ、、私がですか?」

外は夕方になっても まだ夏の日差しがキラキラ 輝き外の風景はまだ熱気が残っていたが まさかこの俺が、、

診察室はまだまだ 患者の息吹が残っていた。先生は机上に置かれた診断書 MRI 撮影写真など 自分に関する健康診断書を見ながら静かに説明を始めた。

先生の話を上の空で聞きながら 記憶を思い越した。

今から二ヵ月前頃、お腹が張り 無理して食べると 苦しくなり 食欲はなくなり 常に胃のあたりが重く 時々吐きそうになった。さすがに 病院嫌いの小生も重い腰を上げて、胃カメラ専門の病院に駆けつけた。

結果は胃の内部の写真はきれいで何も問題ないとの診断であった。帰りには胃の薬をもらい家路に向かったが

しかし 二週間の日が流れても 痛み 苦しみなどお腹の膨張感で苦しみが続いた。先生に今の状態を話ししても 少し辛抱してほしいとの説明であった。しかし この状態で薬だけ飲み続けることに不安が湧き上がった。

そして セカンドオピニオンを考え 次の病院に診断をしてもらったが 以前の病院と同じ診断結果であった。胃カメラの写真を見ながら説明を始めた医者であったが 患者の体も触らず写真を見ながらの説明に怒りが湧いてきた。

そして 医者の診断結果の説明が終わった時 「先生 目の前の患者が痛みで苦しんでいるんですよ、」思わずおおきな声を上げた。夕方の診断室に私の声が響き 看護婦などは思わず仕事途中の手を休めた光景が目に入った。

小生の剣幕に驚いた医者が MRI 検査を勧め近くの機器が揃ってる病院を紹介してくれた。

その検査結果をすぐに大きな封筒に頂き、内科の病院に持ち運んだ。

しかし 机上の診断書に 「悪性リンパ種」の文字が目に入った。信じられなかった。

再び 医者に 「私がですか 本当ですか」 ついつい声が大きくなり 医者は腫れ物に触るように 「ここは大きな病院ではありませんので近くの大きな病院を紹介します」と一言で終わった。

まさか それから、自分の体を守るのは自分だけである事実に初めて気がついた。

そこから 医者と私の戦いのスタートであった

 

 

 

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